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「日本人形」
私は髪の伸びる日本人形
髪が伸び始めてから、みんなに薄気味悪がられ、屋根裏部屋に追いやられた日本人形
そんな私は、埃まみれのガラスケースから見るいつもの景色を眺めては
いつか笑いかけてくれたあの日の少女を待ってるの
そして私は、少女にもう一度気付いて欲しくて両足をもぎとった
目覚める狂気に痛みさえ感じる事の出来ない孤独
目の前に青が広がる
だけど少女はやって来ない
そして次は片腕をもぎ取った
しかし、それでも少女はやって来ない………
外で烏がけたたましく鳴いた
その時、やけになった私は今度は目玉さえもをえぐり取った
身体の痛みは感じる事は出来なくても心の痛みだけは真っ直ぐに届いた
これでもう少女の姿を見る事は出来ないから……
それでも少女に抱きしめて貰えればそれで充分だと思った
バラバラになった私は幾度かそのまま夜を過ごしやがて、待ち望んでいた少女がやって来た
でもそこにあったのは抱きしめてくれた感触ではなく少女の悲鳴だった
そして私は鞄の中に押し込まれ初めて外に連れ出され着いた先は、私と同じ様な人形が沢山居る場所だった
「お前も捨てられたんだな」
何処かで声がする
違う!違う!!捨てられたんじゃない、確かに少女はあの日私に笑いかけてくれたわ
「美しい過去を引きずったって君は報われないよ」
うるさい黙れ!黙れ!!
私はバラバラの気狂い人形
真っ暗闇の中、もう二度と来ない少女を待ってるの
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