36人が本棚に入れています
本棚に追加
他人のために涙を流すだなんてどうかしている。
ましては、この国に不要な自分のために泣くだなんて。
けれど、その涙が彼女の持つ優しさであることも知っていた。
呆れるくらいお人好しで優しい人。
彼女とは、八年以上の付き合いになる。
「顔をあげて。ミシェル。わたしは平気だから」
「いいえ!こんなの酷すぎます。陛下は勝手です!」
「そうね。でも、王の命令は絶対だわ。それに逆らうことは、許されない。わたしはまがい物なれど、この国の娘なのだから」
そう。
自分はまがい物なのだ。
最初のコメントを投稿しよう!