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私が彼を知ったのは高校1年の夏頃だった
照りつける太陽は今よりはまだましだった
夏休みの1ヶ月前で、当時図書委員だった私は放課後残って図書室にいた
カウンターに座って、本を借りに来る人がいないときは図書室の本を読んでいた
彼はよく図書室に来ていた
彼の借りていく本は大抵、心理的描写のある作品ばかりだった
私もそういう本が好きだった
きっと仲良くなれると感じたんだ
ある日、当時授業でやっていた夏目漱石のこころを彼がカウンターに持ってきたとき、私は話し掛けてみた
精神・心理描写のある本が好きなのかと
彼は少し微笑んで、そうだよと言った
人の心理って複雑で難しい、でもとっても興味深いんだ
…どこか遠くを視ているような気がした
今なんとなくその先が私にはわかる
彼はそこに到達したのだから
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