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再び目を覚ますと、目の前がミニ動物園になっていた。
「…ライオンちっさ!」
ニャーニャー鳴いているライオンがいた。うさぎと同じ大きさで、うさぎとじゃれている。……ライオンだよな?たてがみあるし。
「………お?」
目の前が暗くなった。それで上を見上げたら、茶色のくま。約弐米也。
「えーっと………何かご用ですか?」
すると、くまの手が目の前に。
「………りんご?もも?」
見た目が桃の形、色がりんごの果物らしきものを渡された…というか、口元に当てられた。グイグイと。
「ちょ、分かった!食べる、食べるから!」
手を使えないのを分かっているのか、そのまま持っていてくれる。
「………美味い。」
りんごの食感のももだった。これはこれで美味い。くまも、器用にりんごを回してくれるし、さっきのうさぎ達といい、この森の動物は揃って知能が高すぎる。
「ここ、何処なんだろうな…」
結局わからないが、動物達を見るのは楽しいので良しとするか。
昼の数を数えて、だいたい一週間、流石に一日一個のももりんご(勝手に命名)ではダメだったのか、体が動かなくなってくる。
「体が勝手に省エネしてやがるし…」
さらに、夜には夜露がひどい。朝は、夜露に濡れた体の体温が下がりすぎて目が覚める。着ているのは前が全開の学ランだし、もともと体脂肪も少ない方だったので、寒くて仕方がない。エネルギーも足りない、動かない、でどんどん俺の体温は下がっていく。
動物達は、最近仲良くなって俺の周りで寝てくれるようになった。ものすごい温かいので、それで生きているようなものかもしれない。
そして、昼間なのに俺は眠くなった。いつもは動物が遊んでいるのを眺めるだけで起きていられるのに。
「あっれーーーー?こんな所に人間の魂があるー!キヒヒッ…久しぶりだなぁ!最近は左遷されて動物ばっかりだったし!ったく……神様のお饅頭つまみ食いしただけで左遷とか、ないわーー!」
なかなかいい声で、目の前で言われ、目を開けたくてしょうがない。なんだか、息を感じないので少し不思議に思った。
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