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「みんな早くないか?まだ時間まで四十五分あるぞ?」
「あまり寝ることが出来なかったのでは?」
「あー……。そうかもね。」
キースは周りの人たちの顔を見て苦笑しながら言った。二人もキースにつられて見たがあまりに分かりやすい表情にキース同様に苦笑いをした。
集合時間に近づくにつれて少しだけざわついていた周りが静かになっていた。といきなり、ドドドドドドと砂ぼこりをたてながら何かが近づいてきた。こちらに近づくと止まり自身の額を服の袖でぬぐいながら言った。
「ふぃ~。ギリギリセーフ………かな?」
きょろきょろと周りを見て時計を探す……………がここにはなかったようで、近くにいた人に「何時!?」とすごい勢いで迫ってきた。いきなり声を掛けられた女の子はたじたじになりながらも「……はぃ………ご……ご、五時五十八分です。」と応えたがすぐにに仲間のところへ走って行った。聞いた本人はというと、「やったー!セーフだぁ!」と喜んでいた。全員はいきなりのことで唖然としていたが、誰かの「………獣人?」という声でほんの少しざわついた。
差別はほとんどなくなっていてそんなことをする人もほんの一部だけとなっていたが、獣人たちはローブなどで耳やしっぽをかくす人が多く、彼女のように何もしないのは珍しかった。
「珍しいね。彼女。」
「あぁ。そうだな。けどあいつなら気にしなさそう………というかしてなしな。」
「ですね。」
彼女の登場により少しざわついたところでそれを断ち切るように、メガホンを片手に持った若い男が今回の説明をし出した。それにより全員は切りかえ、表情を引き締めて話を聞いた。
カイトとキースは驚いていた。といっても表情にはまったく出ていない。
(は?なんで凪さんがいるんだ?昨日の電話では何も言わなかったよな…………。……………わざとか?)
(えっ……………ななな凪さんがいる!?何で?うわぁ。久しぶりだなぁ♪)
驚いてはいるものの、まったく考えていることの違う二人だった。
「おはようございます。いきなりですが、今日から三日間サバイバルをしてもらいます。一人するのもよいですがチームを組んですることをオススメしますね。食料などは現地で調達すること、なかには下級の魔物がいますので十分注意して下さい。リタイアもしくは、ひどい傷を負った時には後で配る指輪を使います。ひどい傷の時は強制転移、リタイアの時は指輪に魔力を込めて下さい。」
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