記憶のない騎士

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「買ったやつだろ。」 「買った物だよね。」 「買った物でしょう。」 「ひっ……………ひどい……。いっいいもん。ケーキ三人にはあげないから!」 三人にきっぱりと言い切られ、フェリはすっかりいじけてしまった。_____しかし三人が買ったと思ってしまうほどケーキの出来がよかったのだ。三人はフェリが本気で言っているとようやく思ったのか三人はごめんと謝った。 「ふふふ。分かればいいのよ!」 一気に元気になったフェリは、「ケーキ早く食べよー。」と言って一人でせっせと準備をし始めた。ケーキの準備が出来たころにやっとカイトが別の世界から帰ってきた。 「やべっ。トリップしてた……。」 フェリの機嫌の直りの早さに呆れながら、まだ固まっている二人をゆさぶった。 「はっ!?」 「ふぇ?」 「おっ。戻って来たー♪ケーキ早く食べよっ!」 そういいながらニコニコと待つ。 (ショートケーキか……………。ずいぶん懐かしいな。) カイトはそう思いながらフォークでショートケーキを一口に切って食べた。もぐもぐと口を動かし、驚いたようすで目を少し大きくさせながら言った。 「…………………………うまい。」 たった一言だけ言うとまた食べ始め、セツナやキースもひと口食べた。 「うまい!」 「おいしいです!!」 「マジ!?……………よかったぁ。マズいって言われたらどうしようかと思ったぁ。」 フェリは肩に入っていた力を抜き、いつもの活発な感じの笑顔や変な笑い方ではなくふわっとした笑みを浮かべた。体を動かすことの好きなフェリは活発な感じの方が似合うが、さっきのようなふわっとした笑顔もとても似合っていた。 「その笑顔も似合ってるよ。」 キースがさらっと言った言葉にフェリは一瞬きょとんとしたが、すぐに真っ赤になった。
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