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三日月...
いつも鉄二と何かあれば
私を優しく照らす月...
でもね?
今回は
無理そうだよ
ねぇ...鉄二
私の一生を
預かってくれるんじゃ
なかったの?
ずっと一緒に
いてくれるんでしょ?
鉄二がいないこの世に
私が生きる意味...あるの?
屋上のフェンスに
手をかける...
私も一緒に行く
私...
鉄二がいないと駄目だ
フェンスを越えて
三日月を見上げる
綺麗...
鉄二
今からあなたに
逢いにいくね...
...
飛び降りようとした瞬間
「うぅ...!!」
急激な吐き気に襲われ
我に返る
...私...一体何を...
下を見下ろすと
漆黒の闇が広がり
まるで私を
手招きしているようだ
その場にしゃがみ込むと
ボロボロと涙が溢れた
鉄二が生きてほしいと
願っているのに
私は...
自分が辛いから
現実から逃げようとしている
私を心配してお見舞いに
きてくれたみんなを
裏切ろうとしている
私は生きてるじゃないか
鉄二は私を庇って...
なのに...
鉄二が守ってくれた命を
私は...
私は...
頬を伝う涙は止まらない
暫く大声で泣き叫ぶと
また吐き気に襲われた...
あまりの気持ち悪さに
ハッとする...
まさか...
私は急いでナースセンターへ
向かった
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