運命の人...

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...5年後 クリスマスイブ 街はイルミネーションで 色付くこの季節 今日は鉄二の生まれた日 「あのね!瑠維ちゃん 今日ぐらいはさ!! 光月(みつき)と梨花(りんか)で 遊ばせておくから ゆっくり鉄二さんとの 思い出に浸ってきてね!!」 全てを知っている 親友の由紀ちゃんは 毎年クリスマスイブのこの日 私の子供光月を預かってくれる そんな由紀ちゃんも 同じ年に女の子を出産 親友でありママ友でもある 子育てに関して 右も左も分からない私だけど 由紀ちゃんがいたおかげで なんとか私なりに頑張って 光月を育てながら幸せだと 感じている... でも12月24日... この日だけは 胸が痛くて切なくて どうしようもなく 涙が溢れてしまう... そんな私を見兼ねた 由紀ちゃんの提案で 今日1日だけ鉄二を想いながら 毎年呑んだくれている... 「ったく~ ふざっけんなよ~ 鉄二のアホ~ 私を幸せにするとか言って その日に死ぬとか~ なんなの?!ヒック... ...おじさんもそう思いません?! あ、ビールもう一杯くださーい」 「ね、姉ちゃん... ちょいと呑みすぎだ 夜風にでも当たっておいでよ」 ...なんだよ 邪魔者扱いな訳~ 気分悪ぅ!! 会計を済ませ店を出る... 空を見上げれば三日月... 胸が締めつけられる フラフラと歩き出す足は 毎年この日に訪れる 鉄二との思い出の場所へ向かう ... 大好きな横浜の街並みを 見下ろせるみなとみらい ...私...結局前向いてないな 今でも鉄二を 愛してる 逢いたい 本当どうしようもない... もう私だってママなのに 普段心の奥に押し込めている 感情がこの夜景を眺めると 溢れ出すんだ... 鉄二... もう一度だけでもいいから 逢いたい 声を聞きたい 優しく頭を撫でて 微笑んでよ... ... 「おい... 誰がルール破っていいって 言ったんだ? 酒くさすぎだぞ...瑠維」 ...え...? 背後からの懐かしい声... 私...とうとう幻聴まで 聞こえるようになったんだ... いるわけない だって鉄二は... 死んだんだから 淡い期待もせずに 振り返った私は目を疑った
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