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あの後家に帰ると
大量の化粧品と
何着ものドレス
歩き辛そうなハイヒールが
色とりどりに並べられていた
髪はお店に専属の
ヘアーメイクさんがいるので
化粧と着替えだけしてきて
ほしいとカズさんは言って
お店に行ってしまった
溜息をつきながら
鏡の前に座る
「...化粧の仕方が
わかんないっての」
私の声は静かなリビングに
響いた
昨日麗奈さんにしてもらった
事を思い出しながら
適当に化粧を済ませて
ドレスも適当に選んで
ハイヒールは
ドレスの色に合わせた
家の外に出ると
...鉄二の車が停まっている
今会いたくない人No.1だ...
バタン
車から鉄二が不機嫌そうな顔で
出てきた
「...おい、誰が勝手な行動に
許可したんだ?」
「...邪魔しないように
しただけです」
はぁ~っと煙草の煙交じりの
溜息を漏らして
ポンっと私の頭を撫でる
「...悪かったな」
ててて鉄二が
あの冷酷残酷人間の鉄二が...
私に謝った
「...別に」
気にしてないなんて言ったら
嘘になる
「...やっぱ可愛くねぇ
...もう家には女連れ込まないから
だから...もういなくなるなよ?」
ニッコリ困ったように微笑んだ
鉄二の顔に
ドキン
ドキン
...あーもう煩いな
鉄二には調子
狂わせられっぱなしだ
でもいなくなるなって
言われて嬉しかったのは...
私にも居場所があるんだって
思えたから...だと思う
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