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帰宅したあたしは今日1日の出来事を思い返し、戸惑っていた。
だってさ、話の成り行きで口にした嘘が、事実かのように思えてきたんだよ。
中学時代のあたしはかなりイケていて、あの彼とも本当に付き合っていたんじゃないのかな……
クラスメイトとカラオケに行ったり、恋バナで盛り上がった楽しい記憶
彼からの告白、友達と泊まりにいくと親に嘘をついて二人で出掛けた箱根旅行、初めて繋がった恥ずかし嬉しい記憶
ぜんぶ、ちゃんとあるんだよ。
うん、そうだよ。
ジーミーズだったなんて被害妄想もいいとこだ。
そう自分を納得させるも、友達の証明ともいえるプリクラを一枚も撮ったことがないし、もちろん貰ったこともない。
恋人同士なら携帯のメモリーに連絡先が入ってるはずなのに、どれだけ電話帳をスクロールしてもお父さんとお母さん、妹、そしてタクシー会社の4件しか入っていない。
その事実が、あたしの嘘を暴いていく。
わかっているんだよ。……でも、今だけ。
せめて本当に輝ける女の子になるまでは、この嘘を盾にして前へ進んでいこう。
地味で孤独だった記憶は、あたしの足枷にしかならないから。
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