あたしは、散らない

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――― 帰り道は花散らしの雨がしとしと降っていて、余計あたしの気持ちを重くさせた。 昨日はサヤ達と笑いながらくぐった校門も、今日は一人。 明日は誰かと一緒に帰れるといいな、なんて考えるけど、今日の状況だとそれも難しいだろう。 まっすぐ帰宅する気分もなれず、途中の駅で電車を降りるとあてもなく、ふらふらと薄汚れたビル街の間を歩いていく。 しばらく行くと、その汚ならしい場所に似つかわしくない、小洒落たカフェが目についた。 あたしは雨で冷えきった身体を暖めようと、そのカフェの扉を引いた。 チリンーー 扉に取り付けてあった鈴の音に気づいた店員さんが笑顔で近寄ってくる。 「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」 あたしが無言で頷くと一番奥の席に通され、手作りだろうか、キレイに装飾された手書きのメニュー表を渡された。 店内はまばらで、2つ隣りの席では20代前半と思われる2人組の女性が会話を弾ませている。 あたしはコーヒーを頼むと、彼女達の会話にそっと耳をすませた。
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