あたしは、散らない

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この頃、放課後になると急ぎ足でマリリン&ジョーンに向かうのがあたしの日課になっていた。 販売員さんて凄いよね。あたしがどんなにつまらない話をしても笑顔で聞いてくれるし、あたしのテンポに合わせて会話のキャッチボールをしてくれる。 ここはあたしの孤独を忘れさせてくれる、唯一の場所なんだ。もう、ずっとここに居たい! 「あー!美紀ちゃん、今日も学校おつかれさま。美紀ちゃんにピッタリな新作が入ったから持ってくるわね。ちょっと掛けて待っててっ」 あたしはすっかりこの店の上客で、これまで何があっても使わないと決めていた禁断の貯金通帳の残高は、こうして毎日の洋服代へと変わっていく。 だけど、それもそろそろ底を尽きそうなんだ。 だから、今日はいつもようにおしゃべりとお買い物ではなく、お願いがあってここに来ている。
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