いつかあたしも

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電車を乗り継いで40分。 あたしは看護学校の校門をくぐった。 そうーー。あたしは大学受験に失敗したんだ。 国立も私大も含め、全ての医大に落ちたとわかった途端、両親の態度は激変した。 「こんな出来の悪い娘に育てた覚えはないわ!この恥さらし!!」 「アンタにこれまでかけてきたお金、全て返してちょうだい!」 もう笑いかけてくれない。 夕食だって、あたしの分だけ作ってくれなくなった。 これまで両親から平等に分け与えられていた愛情は、全て2歳年下の妹に注がれ、あたしは家でも孤立するようになったんだ。 これまで生きてきた世界を奪われたあたしは死にたいくらいの絶望感でいっぱいになったけど、新しい環境があたしを生まれ変わらせてくれると信じてなんとか踏ん張っている。 看護学校へは「授業料は必ず全額返すから」と懇願してようやく入ることを許された。 あたしはここでキャンパスデビューを果たすんだ。 イケてる情報ならぜんぶ頭ん中に詰まってる。
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