23人が本棚に入れています
本棚に追加
声の主に視線を向けると、やたらと鼻の穴がデカい、金髪ショートカットの女が口角をひきつらせながら、歪んだ笑顔を向けていた。
緊張からだろうか。そのカラダは小刻みに震えている。
うわー 友達になろうなんて初めていわれたよ。
だけど"嬉しい"と感じるより先に、この鼻子に言われた「デビュー組」という言葉が引っ掛かった。
コイツにはあたしがデビューだってバレてる?
いや。今日のあたしは完璧なはず。80点だけど。
万が一バレていたとして。
コイツもデビュー組ならいろいろとわかりあえるかもしれない。
あたしの初めての友達にふさわしいのは、この鼻子みたいに冴えない女なんだろう。
あたしはもう一度鼻子の顔をまじまじと観察した。
毛穴の開ききった肌に、ニキビの跡。
その上から覆ったファンデーションが粉を吹いている。
目はタレ目の一重で、人相も悪い。
そうだ。あたしはこんなジーミーズから脱するために進学したんだ。たとえここでコイツとつるんで孤独から解放されたとしても、それはあたしが望んでいたものとはまるで違う。
あと3秒気づくのが遅かったら「あたしなんかで良ければ喜んで」とか言ってたんだろうな。あっぶね。
あたしは気だるそうに机に伏せると、鼻子に向けて威嚇した。
最初のコメントを投稿しよう!