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高1
5月ー
だんだん春色が消えて、
夏に向けての青さに変わりつつある季節。
四月の頃にはまだ緊張がほぐしきれなかった人も
その頃には高校生活にだいぶ慣れてきて
教室には活気が満ちていた。
私もそんな中の一人だ
慣れてきたこともあり、
クラスにはぼんやりとだが
グループが形成されていた。
派手な女子の大所帯グループ。
地味目の女の子達の少数グループ。
男子大多数のグループ。
そして私の所属している普通グループ。
実を言うとグループというものは苦手だ
だけど、
中学の頃の楽しそうだったグループへの憧れが強くあり
今はこうしている。
ちなみに人数は私を含め四人組。
私以外はまさにJKというようなキャピキャピな女の子だ
只今昼休み。
目の前ではクラスの男子について
凄く直球な会話が繰り広げられている。
「だーかーらー、あいつは無理だよ!」
可愛いくせに、毒舌な亜衣が口を尖らせ
る
「でも、背高いじゃーん?」
リーダー格の楓が言う。
「背が高いのは良いけど、顔がね…
と大人っぽい才加、
私はというと、
そんな三人を眺めながらご飯を食べていた。
「ねね、じゃあさ、尾澤君ってどう?」
才加が言い出した
「えー、まあ、うちのクラスじゃましなんじゃね?」
と亜衣。
「うーん、いいと思う!」
と楓。
ー尾澤…ねぇ、…
私は高校に入る前から尾澤を知っていた。
といっても、ただ中学が一緒だっただけで
特にクラスが一緒だった
というわけでわない。
けれど、彼の噂はよく聞いていた
私からみれば、地味で暗くて…いいとこなんて一つも見当たらなかったが
学校でも有名な女の子と付き合ったり
指折りの可愛い子をフッたりと結構なモテ男だった。
…実はウチ、尾澤くんのメアド知ってんだー」
いままで尾澤の良さについて語っていた三人の話が才加の一言で固まる。
「まじで!サヤカやるじゃん!」
えへへと嬉しそうに才加は携帯を取り出す。
「なんかぁ~、いってること難しいんだけどぉメールしてんの」
と携帯を開きそのメールを見せてきた。
…そこには長々と絵文字も顔文字もなく哲学的な悶々と連なる無機質な文があった。
ーなんだこの人…
最初に抱いたのはただの純粋な驚き
そして、強烈な共感だった。
この人…面白い。ー
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