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尾澤海誠ーオザワカイセイ
…あんな暗い雰囲気なわりに
すごい明るい名前だなと思う
晴れ渡っているようなそんなイメージ。
メールアドレスのところでクリックし、
メール編集画面を開く。
なんて打とう…。
最初は無難でいこっ
『件名:こんにちわ
こんにちわ!山伏安です。
アドレス交換してくれてありがとう!
登録お願いします。』
さっと打って送信ボタンを押す。
□送信画面□
パタンと携帯を閉じて、天井を見つめた。
………
ティンティロティ~
メール受信を知らせる音楽と共に
右手にある携帯が震えた。
『Re: こんにちわ
了解。
よろしく』
ほんとに味もそっけもないメール。
でも、才加宛のメールをみていたからか
ショックはそこまで大きくない。
…このまま終わらせてもいい流れだ
だけど、
私は終わらせたくなかった。
また返事をどうしようか迷う…
『Re Re: こんにちわ
あのさ、突然なんだけど
中学の時
奏に告白されたじゃん?
どうしてフッたの?』
奏とは
あたしの中学時代の友達
学年でも指折りの美少女だった子で
しかも、
絵にかいたようなツンデレで
最高に可愛い子だったわけで…
なぜそんな子をフッたのか
ずっと気になっていた。
返信を知らせる音楽が鳴る。
『Re Re Re:こんにちわ
中山のこと?
好きじゃなかったからな。』
あ、そうですよねぇー
となんだか普通な回答。
なんとなく調子に乗った私は
学年で最も目立つグループの
リーダー格だった
ギャルの彩菜や
校内の部活で一番活躍している
バスケ部のキャプテンだった
八田さん
どうしてそんなタイプの違う人達と付き合ってたのか、
どうして別れたのか、
次々と質問攻めにした。
彩菜に関しては
告白されて可愛かったから
でも好きではなかったから別れた。
八田さんは告白されて断れなくて
でも好きになれなくて別れた。
と
淡々と返ってくる文面は
なかなかシュールだ。
今は好きな人いないの?
この質問は才加や楓を喜ばすために
最後に付け加えた。
いない
即答だった。
まあそうだろう、
だけど…
返事が来る度に
モヤモヤとしたものが胸の中で広がる
ーこの人、誰かを好きになったことあるのかな…?
正直な疑問だった。
『Re Re Re Re Re Re …
あのさ、ずっとメールしてて思ったんだけど
尾澤って人を好きになったことある?』
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