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ジマジュウも動きを止めてそちらを向いている。危険を感じたのだろう。
後ろをゆっくりと顔だけ動かしながら声の主を確認する。
白いボロ布を全身を覆い隠す様にまとっている。体格から見て男と女だろう。
男が前に立ち睨み付けながらジマジュウに殺気を放つ。
ボロ布の男が視線を向けないままこちらに話しかける。
「ボーッとするな。今のうちにこっちに来い。」
「まだ中に人が!」
「わかっている。中の二人はもう助けた。」
見ると親方も愛華さんも既に男の遥か後ろに横たわっていた。男と一緒にいた女もすぐ脇に立っている
「いつの間に…?」
おそらく女が助けたのだろう
いつの間に助けたのかより、何故気付けなかったのかが不思議だった。
男を無視して二人のもとに走る。
二人とも気を失っているだけの様だ。
よかった、と安堵のため息をこぼす。
「これからどうなるんです?」
横に立つ女性に訪ねる。
「まぁ、見てなさい。」
女性はとても落ち着いた声で答える。
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