第2章

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「何だと!?星野、伝えなかったのか!?」 「えっと、伝えました――――」 「いーえ先生、僕らは何にも聞いてませーん。星野さんはウソをついていまーす」 「そ、そんな・・・!!」 「星野・・・、お前のことは見損なった。もういい。私が伝える」 「・・・・そ、そんな、織田先生・・・!?」 「なんだ、速水」 ・・・・・・ 「・・・な、なんでもありません・・・」 ・・・そんな、星野さんにそこまでするなんて・・・!! すると、そのとき。 ガラガラガラ、と教室の引き戸が開いた。 「授業中すみません―――・・・織田先生、USBメモリー貸していただけませんか」 ・・・・輝? すると、輝は私が見ているのに気付いて、他の皆には気付かれないように、口元を緩ませた。 私も少し笑って、なんだかさっきの嫌な気持ちとは一転、ほんわかした気持ちになった。 「・・・・失礼しました」 ぴしゃり、と引き戸が閉まる。 「・・・八木ってば、津川のことずっと睨んでたよ」 好乃が、こそこそ話で伝えてきた。 「・・・うん・・・」 八木とは、星野さんをいじめている奴らの、中心になっている奴だ。 「・・・・・・早くクラス替えしたいな」 そう言った好乃の声は、かすかにふるえていた。 ***
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