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強い気持ちが胸に浮かぶ。
突然苦しくなった胸に、ミネルヴァは今にも膝を着きそうな脚で地面を蹴り、利き手の左手で水の都<ミリタリズム帝国>のイメージカラーである蒼の軍服の胸を抑えた。
「っぐぅ……」
(またか…!!)
また、というのは、最近頻繁に、右胸が原因不明の痛みを発するのだ。
だがそれも、つい最近発症したものでも無く、覚えている限り幼少の頃からだった。
心臓が鼓動打つ反対の右の胸が、太いボルトのボウガンに射たれたような鋭い痛みを発する。
息を切らし、汗が額から頬を伝って床に滴る。
視界が霞み、なんとも言えない苦痛についには膝をついてしまった。
「………っ」
痛みに、喉もきゅっと絞まったように息がしづらくなり、うめき声にも叫び声にもならない。
苦しい。
だが、しばらくすると痛みは徐々に落ち着きを取り戻し、新しい空気が喉が、気道を通り、肺循環を安定させる。
床に座り込み、痛みが引いていく右胸から手を離して額の汗を拭った。
「…ミネルヴァ!!ミネルヴァ・カークランド!?」
背中から程遠く先から聞こえた、自分を呼ぶ声に、ミネルヴァは首だけ振り向いた。
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