報告書No.01

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「くれぐれも無理しないでよ」 背中に咲が回り、スラスターのついた顕現装置を着ける。 「分かってる」 言葉の直後、陽介は全身が一気に軽くなり、低空で宙に浮いた。 全身からは顕現装置が起動する振動を感じる。 これが、顕現装置。魔術師の周りに理想を実現できる特殊な空間を、展開する。 それは物理法則をも変化対象外ではない。 これこそ、陽介が魔術師(ウィザード)と言われる理由。 そして整備員が、フォークリフトで二束のロケットランチャーを運び、陽介はそれを受け取り、背に装着する。 彼は何事もないように視界の先のハッチを見る。 「ハッチを開けろ!」 金属製の重いハッチの狭間が徐々に大きくなる。 陽介は、決して足を動かすことなく滑宙しハッチの真ん前に移動した。 「アデプタス2、行く!」 次の瞬間、格納庫内に衝撃が襲い、気付くと陽介の姿はどこにもなかった。
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