7人が本棚に入れています
本棚に追加
~河流の部屋~
『チュンチュン』
「ん………………んん………………」
久しぶりにあの夢を見たせいで、なんだか、寝覚めが悪い。
彼女には本当に悪いことをしたなと思った。
【ガチャ!】
「おっはよーう!おにぃ!って、また眼鏡掛けたまま寝たね!?」
どうやら、妹は“リバーシ”に言いたいことがあるらしいのだが、いつも“彼”の傍若無人さに振り回された挙げ句、慌てて僕に眼鏡を掛けさせて表の僕を引きずり出して、なにも伝えられずにいる。
「うん、おはよう、まぁ、そんなことより、母さんがご飯作ってるんだよね?」
僕としては、“リバーシ”は何をしでかすかわかったものではない上、自分の体を乗っ取られた気がするので、あまり表に出したくないのだ。
『おいおい、つれないこと言うんじゃねえよ、相棒!』
『うるさい!』
………………妨害も多少あったが、話をそらすことにした。
「うん、だから呼びに来たんだけど………………」
「よし!下に行こう」
階段を降りていくと、テーブルには朝食が置いてあった。
「おはよう、母さん!」
「あら~おはよう~、さ~、食べてね~」
間延びした感じが、いつもの風景を産み出す。
「「いただきます!」」
食事をしながら、思う。
(何であんな夢を今さら見たんだろう?彼女の髪は綺麗なマリンブルーだったけど、十年前の彼女と関係はあるのだろうか?いや、考えすぎだろう、髪の色なんか、まさに十人十色、様々な色があるんだから、髪で判別するのは無理だろう)
「にぃ………………おにぃ!」
「!んあ!?」
「どうしたの?ぼぅとして?」
「いや、ごめん、ちょっと考えて事してた!」
「もう!ダメだよ!食事中に考え事なんて!」
不意に、テレビからニュースが聞こえてくる。
『え~、次のニュースです。昨夜、暴力事件が起きました。現在確認されているだけでも、12名の負傷者を出しており………………』
「え?これあったのって結構近いよね?」
「うん、気を付けないとね」
最初のコメントを投稿しよう!