第一章 せめて平穏で居させてよ!

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~河流の部屋~ 『チュンチュン』 「ん………………んん………………」 久しぶりにあの夢を見たせいで、なんだか、寝覚めが悪い。 彼女には本当に悪いことをしたなと思った。 【ガチャ!】 「おっはよーう!おにぃ!って、また眼鏡掛けたまま寝たね!?」 どうやら、妹は“リバーシ”に言いたいことがあるらしいのだが、いつも“彼”の傍若無人さに振り回された挙げ句、慌てて僕に眼鏡を掛けさせて表の僕を引きずり出して、なにも伝えられずにいる。 「うん、おはよう、まぁ、そんなことより、母さんがご飯作ってるんだよね?」 僕としては、“リバーシ”は何をしでかすかわかったものではない上、自分の体を乗っ取られた気がするので、あまり表に出したくないのだ。 『おいおい、つれないこと言うんじゃねえよ、相棒!』 『うるさい!』 ………………妨害も多少あったが、話をそらすことにした。 「うん、だから呼びに来たんだけど………………」 「よし!下に行こう」 階段を降りていくと、テーブルには朝食が置いてあった。 「おはよう、母さん!」 「あら~おはよう~、さ~、食べてね~」 間延びした感じが、いつもの風景を産み出す。 「「いただきます!」」 食事をしながら、思う。 (何であんな夢を今さら見たんだろう?彼女の髪は綺麗なマリンブルーだったけど、十年前の彼女と関係はあるのだろうか?いや、考えすぎだろう、髪の色なんか、まさに十人十色、様々な色があるんだから、髪で判別するのは無理だろう) 「にぃ………………おにぃ!」 「!んあ!?」 「どうしたの?ぼぅとして?」 「いや、ごめん、ちょっと考えて事してた!」 「もう!ダメだよ!食事中に考え事なんて!」 不意に、テレビからニュースが聞こえてくる。 『え~、次のニュースです。昨夜、暴力事件が起きました。現在確認されているだけでも、12名の負傷者を出しており………………』 「え?これあったのって結構近いよね?」 「うん、気を付けないとね」
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