第一章 せめて平穏で居させてよ!

7/14
前へ
/25ページ
次へ
和也の声を聞き、愛花の弁当を覗いてみると、確かに美味しそうな弁当だった。 「うん、確かに美味しそうだね!自分で作ったの?」 愛花は、小さくうなずいた。 「ふーん………………愛花ってさ、いいお嫁さんになりそうだよね」 「だってよ、愛花?」 愛花は、ずっとうつむいて、顔を真っ赤にさせている。 「ありゃ?怒らせちゃったかな?ごめん!」 『とりあえず謝っとけっていう精神が許せんよオレは!』 『だから、何でいちいち出てくるのさ!?』 『そりゃねぇぜ相棒!オレ達は一心同体、発言したいときには出てくるのさ!』 『もう、好きにしなよ!ただ、結構無視するかもだからね!』 『ああ、結構結構!構わねぇぜ!』 「あれ?和也のお弁当はコンビニ?」 「あぁ、ちょっとお袋、風邪気味でな、弁当作ってる余裕は無いんだと」 「うわ………………春先の風邪は厳しいよね…………」 弁当をつつきながら話を進める。 「河流は、あ~んとかされたいって思ったことないのか?」 急に和也が、変なことを言ってくるので、どもってしまう。 「な、なんだい急に!?僕にはソッチの気は無いぞ?」 「あぁ!?ちげぇよ!俺がされたいから、お前もどうなのかって聞いただけだよ!」 「あぁ、そういうことね…………う~ん………………まぁ、ちょっとは羨ましいかな」 「そうかそうか!やっぱりそうか!同士だな!」 和也は、満足そうに頷いていた。 「だってさ、愛花はあ~んしてあげたいって言ってたよな?」 「ちょっと!やめてあげなって!」 なんとなく雰囲気を察したので、止める。 「思い違いかもしれないけど、僕なんかにそんなことしても、なんの得にもならないよ?と、いうか、愛花には、好きな人いるんだから!」 「(はぁ………………この鈍感は!もういっそ潰してやろうか?)」 「何か言った?」 ボソボソと言われても分からないだろうに。 「ん?あぁ、別に、何でもない」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加