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「とりあえず、食べとけ!」
「何で僕みたいな凡人に完璧超人な愛花の弁当をつままなきゃならないのさ!?」
和也は、なんだかじれったそうに机をトントンと、人差し指で叩いている。
「ええい!もう!いいから、そのままでいろよ!んで、やっちまえ愛花!」
顔を固定されると、すぐに口のなかに卵焼きの甘味が広がった。
「んぐぅ!?」
数秒何が起こったのかわからなくなった。
「どうだ?美味いか!?なぁ、美味いのか!?」
クラスの男子から、とてつもなく鋭い視線が突き刺さる。
「う、うん、確かに美味しいよ。けど、愛花はよかったの?」
彼女は、無言でコクンと小さく頷いた。
「あれだよ、弁当を誉めたお礼ってことだろ?別に深い意味はないだろうし、ありがたく受け取っておけ」
「「「「貴様!なんということを!!!!そんなことは、俺達AAFが許さない!」」」」
出た……………… Aika's Ardent Fans 略して、AAF………………らしい。
つまり、愛花の親衛隊だ。
多分、これが愛花の好きな人が振り向いてくれない理由の大半を占めていると思う。
まぁ、二年生に上がりたてで生徒会長ともなれば、注目もされるわけで、その注目の的が、完璧な超人、美人であれば、親衛隊も作られるわけで………………。
「邪魔っ!」
【ザッ!】
愛花がキッとにらみ返すと、たちまちAAF
の人達が後ずさった。
【キーンコーンカーンコーン!】
瞬間に、予鈴が鳴り響いた。
「ん!?やべっ!ちょっ!次、移動教室だっけ!?」
「え!?それはまずい!あ、愛花、その、弁当美味しかったよ、ありがとね」
「う、うん」
言うことは言ったので、後は教室を移動して授業を受けるだけだ。
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