序章 捲し立てることほど良くないことはない。

2/10
前へ
/25ページ
次へ
「て………きて……………起きて…………起きなさーい!」 【ボフッ!】 「グフッ!いたた………………おはよう花鈴(かりん)って!どんな状況!?」 おはようございます。はじめまして、僕は成角 河流(なりかど かわる)と言います。絶賛理性がピンチの真っ最中です。 「あ!おにぃ!また昨日も眼鏡掛けたまま寝たね!?」 「いや、別に良いだろ?それより、今日は入学式でしょ?早く行かなくていいの?」 時計を見ると、デジタル表示で、8:00と書いてあった。 入学式は8時半、家から学校まで徒歩で約30分。 ギリギリな時間だった。 「え!?もう8時!?どうしよう!遅刻しちゃう!」 「さ、早く行きなさい」 「ん~!もう!しょうがない!お母さん下でご飯つくって待ってるから、じゃね!」 彼女は真新しい制服を翻し、長い黒髪をなびかせながら、下へ降りていった。 いきなりこんなにどたばたしてしまって申し訳ない。妹は15歳で、僕は16歳。 両親が再婚して、お互いの子供は一つ屋根の下、兄妹として生活するようになったが、彼女は僕のことを兄として認めたがらず、色んな事があったが、それはまた別のお話。 そして、彼女は僕と同じ高校“私立 牡丹高校”を志望して、今日から同じ学舎の中で生活を共にすることになる。 さて、そろそろ僕も学校に行かなくちゃ。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加