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「よっ!麗華!早かったな!」
「ふ、ふん!当然のことでしてよ?」
そんなどもった彼女の泳がせた視線の先に僕が入ったのだろう。
「あら?金魚のフンも一緒にくっついていらしたのですね?」
こんな態度の違い見せつけられちゃ和也に特別な感情を抱いてるとしか思えない。
「まぁ、そういう言い方するなって!」
いつものことだが、麗華のことは和也に任せて僕は、部室内に入る。
中には、6つの机が“コ”の字を描いて置かれていた。
真ん中の二つのうち、右側は和也で、副部長の僕は、その左隣。
僕の席の正面には愛花と、空いている席。
そして、和也の正面が麗華と、最後の部員である、月影 陽菜 (つきかげ ひな)の席がある。
「ん……………………こんにちは」
「う、うわぁ!?いつから居たの?」
「今………………来た」
彼女は、基本無口だし、いつも本を読んでいて、絡みづらいので少しばかり影が薄い。時々眼鏡を掛けているのを見ることもある。因みに髪の色は薄紫だ。
「そっか………………じゃあ、この書類の仕分けを手伝ってくれる?」
「うん」
そうして、僕達は二人で作業を開始した。
と、いうか、和也が帰ってくる気配がない。
本当に緊急なものは、基本的に言いに来るので、書類は、別に大したものは無い。
と、思っていたが、1つだけ大したものを陽菜が見つけてしまった。
‘依頼’ 愛川 瑠璃
“ここは、頼めば何でもしてくれると聞きました。なので、お願いします。私を助けてくれたあの人を見つけ出してください。
特徴は、眼鏡を掛けていて、黒髪で、喧嘩が強くて、ちょっと口の悪い人です。”
特徴少ないなぁ…………………………
「これ……………どうする………………の?」
陽菜が、話しかけてきた。
「ん~………………人探しかぁ…………まぁ、ちょっと放置かな?」
「ふーん………………」
心底どうでもよさそうな声をあげて元の作業に戻った。
今回は仕分けだけなので、すぐやるものと、あとに回すものと区別するだけでいい。
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