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「う?」
「うええええええええん!おにぃちゃんがいじめる~」
ええええ!?周りを見ると、鉄骨に行っていた視線が、一気にこっちに来る。
そもそも、麗華は泣くような年ではないはずで、伸長も150前半で、俺が160後半で、オレが泣かしてるようで………………?
「おいおい、ちょ、ちょっと場所を変えよう!」
俺は、鉄骨の向こう側にある眼鏡をとって、胸ポケットにしまい、麗華の手を引いて近くの公園まできた。
~帰り道/公園~
今は公園でベンチに座り、麗華と対談している。
「なぁ、もう冗談はいいだろ?そろそろ泣き止んでくれよ」
「うぅ、じょうだんてなんのこと?」
うっ………………どういうことだよ?
「はぁ、いつもの傍若無人なお嬢様は何処へ行ったんだ?」
「なにわけわかんないこといってるの?おにぃちゃん」
泣き止んでくれはしたみたいだ。
【ピト】
俺の横に座り、寄りかかってきた。
「なっ!?何するんだ!?」
「う?いやなの?」
ウルウルと、目の端に涙をいっぱいに溜めて、こちらを見てくるので、否定できなくなる。
「い、いや、じゃ、ないけど」
「あはっ!よかったー」
もう誰だよこれ!?本当に麗華なのか!?
「あは、あたしのこときになった?あたしはね、れいかおねえちゃんの“りばーし”なんだって」
“リバーシ”だと?それは、俺と相棒だけの共通の言葉じゃなかったのか?
『ねぇ、じゃあ、麗華も二重人格だってこと?』
『ん?あぁ、そうなんじゃね?』
相棒もよくわかってないようだ。
「“りばーし”は、いたみとか、かなしみとか、ぜんぶきょうゆうできるんだって!しってた?」
いや、まぁ、知ってるけど。
と、そんなことよりも、
「なぁ、そのリバーシって言葉は、誰かから聞いたのか?」
「んー?よくわかんない」
全く要領の得ないやり取りだ。
こんなことをしててもしょうがないので、麗華を帰すことにした。
「あーほら、もうすっかり暗いじゃねえか、帰れ」
シッシッと、手払うそぶりをすると、麗華は、スクッと立って、考える。
「んー、なんか足りないような……………………あっ、そうだ!」
トテトテと、麗華が近づいてきて、金色の、綺麗な髪が目に入った瞬間、頬に柔らかな感触を感じた。
「助けてくれてありがと、お兄ちゃん!」
もうなんなんだこれ!
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