第一章 せめて平穏で居させてよ!

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「う?」 「うええええええええん!おにぃちゃんがいじめる~」 ええええ!?周りを見ると、鉄骨に行っていた視線が、一気にこっちに来る。 そもそも、麗華は泣くような年ではないはずで、伸長も150前半で、俺が160後半で、オレが泣かしてるようで………………? 「おいおい、ちょ、ちょっと場所を変えよう!」 俺は、鉄骨の向こう側にある眼鏡をとって、胸ポケットにしまい、麗華の手を引いて近くの公園まできた。 ~帰り道/公園~ 今は公園でベンチに座り、麗華と対談している。 「なぁ、もう冗談はいいだろ?そろそろ泣き止んでくれよ」 「うぅ、じょうだんてなんのこと?」 うっ………………どういうことだよ? 「はぁ、いつもの傍若無人なお嬢様は何処へ行ったんだ?」 「なにわけわかんないこといってるの?おにぃちゃん」 泣き止んでくれはしたみたいだ。 【ピト】 俺の横に座り、寄りかかってきた。 「なっ!?何するんだ!?」 「う?いやなの?」 ウルウルと、目の端に涙をいっぱいに溜めて、こちらを見てくるので、否定できなくなる。 「い、いや、じゃ、ないけど」 「あはっ!よかったー」 もう誰だよこれ!?本当に麗華なのか!? 「あは、あたしのこときになった?あたしはね、れいかおねえちゃんの“りばーし”なんだって」 “リバーシ”だと?それは、俺と相棒だけの共通の言葉じゃなかったのか? 『ねぇ、じゃあ、麗華も二重人格だってこと?』 『ん?あぁ、そうなんじゃね?』 相棒もよくわかってないようだ。 「“りばーし”は、いたみとか、かなしみとか、ぜんぶきょうゆうできるんだって!しってた?」 いや、まぁ、知ってるけど。 と、そんなことよりも、 「なぁ、そのリバーシって言葉は、誰かから聞いたのか?」 「んー?よくわかんない」 全く要領の得ないやり取りだ。 こんなことをしててもしょうがないので、麗華を帰すことにした。 「あーほら、もうすっかり暗いじゃねえか、帰れ」 シッシッと、手払うそぶりをすると、麗華は、スクッと立って、考える。 「んー、なんか足りないような……………………あっ、そうだ!」 トテトテと、麗華が近づいてきて、金色の、綺麗な髪が目に入った瞬間、頬に柔らかな感触を感じた。 「助けてくれてありがと、お兄ちゃん!」 もうなんなんだこれ!
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