序章 捲し立てることほど良くないことはない。

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~2ーB教室~ 【ガラガラガラ………………】 『ガヤガヤ………………ガヤガヤ…………』 教室の中は、賑やかだった。 「はぁーなんだ、ハズレかー」 ガヤガヤしているなかから、そんな声が聞こえた気がしたが、スルーを決め込む。 黒板を見てみると、“自由に座ってよし”と書かれていた。 席は、一番左後ろの端から、前に2つのところに決めた。 「お、河流じゃん、同じクラスだったな!」 「うん、おはよう、和也」 何も適当にこの場所を選んだわけではない。 この席の前には、猪狩 和也(いかり かずや)が居たから。という理由が大きい。 僕とコイツは、はじめて出来た友達であり、親友だ。 「元気だった?」 「おうよ!元気すぎて通報されるところだったぜ!」 はぁ………………また何やらかしたんだろう? 「今度は何やらかしたの?」 「いや、オレは別になにもしてねぇよ!ただ、女の子に話しかけまくってたら、痴漢だなんだといちゃもんつけられてな」 と、まぁ、こんな感じの人間で、黙っていれば、女性が寄ってくるのに、所謂残念なイケメンというやつだ。 「はぁ………………そろそろいい加減にしたら?」 隣から話しかけてきた女子は、栖原 愛花(すはら あいか)だ。長いストレートの白い髪で無表情、何とも感情が読みにくいが、彼女も僕の友達であり、親友だ。 「いやいや、そんなこと言われてもなぁ………………彼女ほしいし、なら、お前がなってくれるとか?」 「無理」 「即答………………しかも、却下かよ。そうだよなぁ、お前好きな人いるんだもんなぁ」 そう、愛花には、好きな人が居るらしい。 元々気立てがよく、更に美人で成績優秀、容姿端麗、運動神経抜群、手に入らない物はないと思われるくらいに完璧なのだが、その好きな人とやらは振り返ってくれないらしい。 どこの誰だろう? 愛花は、その人の話を全くしないので、検討もつかないままである。
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