壱
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ひとたび 其の一点を覗き見れば 千手の蓮の花が 幾重にも交わす 微睡みの桃源郷が視界を占拠する。 童の頃より 片時も離さず傍に在る其れは まるで浮き世の業さえも煙と紛うばかりに 伴侶を得て尚 私を魅了して止まなかった。 『万華鏡』 其の魔力に取り憑かれてからというもの 私の世界は 七色に艶めいたのだ。
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