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小さな寝息を立てる伴侶を部屋へと残し 私はそっと庭へと降りる。 日課となった独りの夜更け 鈴虫の囁きは 微かに松の枝を揺らし 天空に浮かぶ半月が 仄白い灯りを地上へと落とす。 幾年月を経てすっかり掌に馴染んだ 磨り減っても尚色鮮やかな和紙にくるまれた筒を 半月に翳す。 幻想的な風合いにうっとりと眼を細めながら シャラシャラと細やかにさえずる万華鏡を 至宝を愛でるように 親指の腹で優しくなぞった。
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