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地上でみんーな知ってる太陽。
太陽には2つの呼び名がある。
今日の始まりを知らせる朝陽。
今日の終わりを知らせる夕陽。
とある日に、一つの卵から2人の子が生まれ、朝陽と夕陽と名付けられた。
大きくなり、朝陽の眩しい朝、2人は親に尋ねた。
「どうして夕陽と朝陽って名前なの?」
親はこう答えた。
「朝陽と夕陽が沢山の人から愛され輝いているように、2人もそうであって欲しいからだよ。」
それから2人は成長するにつれ、どちらがより人から注目を浴びられるかを競うようになった。
親から与えられた名前のように、沢山の人に愛されたかったから。
朝陽と夕陽、2人の間には深い深い亀裂が入っていった。
互いに顔を合わせば、いがみ合い、喧嘩や口論が絶えなくなり、やがて辺りは暗く、混沌とした日々が続いた。
2人の周りには誰も居なくなっていた。
朝陽が上がり、また夕陽が沈んでいく。
ある日、年老いた親が言った。
「あなた達、お互いの顔をよく見てごらん。」
2人見合わせてみると、そこには自分と同じ顔が酷く醜く歪んでいる。
とても驚いた。誰よりも愛され、輝く人になりたかったのに、これでは誰も近寄りもしないじゃないか。
ふと、見上げると、空には昼の高い高いお日様が、まるで「私より輝けるモノなどありはしない」と笑っているみたいにジリジリしていた。
2人は気が付いた。
太陽はなんで皆に慕われているかを。
それから2人は、困っている人が居たら助け、分け隔て無く癒やし、愛を与えた。時に、悪いことをしたら叱ったりもした。
友達もまた沢山出来た。
朝陽と夕陽。
どちらも太陽。
2人は一緒。
親は死に際に2人に手紙を書いた。
太陽は何で沢山の人から愛されているかを。
そして2人を分け隔て無く愛していたことを。
2人は悲しくて太陽を見上げた。
赤く染まった夕陽が、海に涙を流していた。
「また明日になれば新しい希望の朝陽が昇る。」
「そして夕陽が安息の時間を知らせる。」
朝陽と夕陽。
朝陽と夕陽。
朝陽と夕陽。。。
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