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その瞬間。
ドアの音を聞いたらしいお母さんがスリッパの音をパタパタと鳴らしながら小走りに走って来た。
「美和、何処行って――…」
お母さんの声が聞こえてきて、
顔を覗かせたと同時に悠真の姿を確認すると言葉を止め、
「あら、悠真くん！久し振りねー！」
次に出した声はワンオクターブ高くなっていた。
「お久しぶりです」
そんなお母さんに対して悠真は、ニコッと笑うと小さく頭を下げる。
「美和のお見舞いにでも来てくれたの？」
「え？美和体調わりぃの？」
お母さんの言葉に、悠真は驚いた様にあたしに顔を向ける。
「え、あーうん…でも治っ…たっていうか…」
「あら、美和ったら悠真くんに何も言ってなかったの？」
「…………」
「ていうか、悠真くん？学校は？」
「…………」
なんだか3人の間に気まずい雰囲気が流れてた。
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