赤い携帯電話

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「良かった、あった。」 教室に着き、 机の中にちゃんと自分の携帯が あった事に安心した。 そして、机から取り出した 携帯を開くと着信履歴が1件。 そこには、 悠真 の文字。 何だか嬉しくなって あたしは悠真に電話をかけ直した。 真弓が待っているから 少し足早に歩きながら。 ―――…プルルルル。 耳元で機械音が流れる。 「……はい。」 その機械音が暫く続いた後、 少し酷そうな悠真の声が聞こえてきた。 「あ!悠真?風邪大丈夫?」 「あー…まだちょっと怠い」 「熱、結構あるの?」 「うーん、まぁ」 「お見舞い、行こうか? って真弓と約束げあるから 今すぐには行けないんだけど…」 「いや、いいよ。 美和には会いてぇけど 風邪うつすの嫌だし」 そんな悠真の言葉に、 つい頬が綻んでしまう。 1年経った今でも。 こんなに大切にされてる あたしは本当に幸せ者だと思う。 その後、少しの会話をして 「早く元気になってね」 そう言って電話を切った。
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