プロローグ

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その無数のナイフのようになったシャッターの破片は蒼空の身体を霞め、背後の植木鉢、花の入ったガラスのショーケースを破壊していく。 シャッターの破片は絶え間なく吹き飛んでいる。 その時、勢いよく回転し、蒼空の方向ではなく聖空の方へ飛んでいく物があった。 蒼空の目に映るそれは、やけにゆっくり。 ゆっくりと。 すべてがスローモーションになったかのように、ゆっくりと回転しながら蒼空の横を通り抜け、 それは…聖空の顔に、刺さる。 尚もゆっくりと。 思わず蒼空は聖空から目を反らした。見ていられない。 すると突然、時間の流れが正常に戻る。 アスファルトの破片、シャッターの破片 いろんなものが高速で後ろへ向かって飛んでいく。 聖空の悲鳴が身体を軋ませる轟音の中響く。 蒼空の意識は徐々に薄れ、見るものがぼやけてくる。 その中、切り裂かれたシャッターの向こう側にいる人影を見た。 赤い光に包まれる中で 別の光 青白い光がその人物を包んでいる。 だが次第に青白い光は弱まり 赤い光に呑まれ その人影は 影も残さず消えていった。 あれは 誰?だろうか 蒼空はうつ伏せになっていた。 意識は段々と遠退いていく。 そして赤い光は輝きを増し、目に映るものすべてが赤い光に包まれていき、全身の痛みが退いていく。うるさい轟音も消えていく…… それは 完全なる《無》 『覚悟を、決めろ』 突然、耳許でささやく声なのか、遠くで叫ぶ声なのか、もしくは幻聴なのかわからないが、ゆらゆらと消えそうな意識の間をすり抜け頭の中に響く。 『運命を変えてみせろ。』 その言葉を最後に 身体から意識を抜かれるのがわかった。 *
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