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気分が晴れ渡りそうな少しまだ涼しい4月の朝
少年─十紅(つなし あか)はベッドの中で魘されていた。
「う……」
16歳という彼の年齢なら学生として支度をしないといけない時間だが
当の本人は学校に通ってはいない。
そして、その紅は一面黒の世界に立っていた。
(苦しい… ここはどこだ…?)
見渡す限り黒一色だが、目を凝らすと前の方に誰かの後ろ姿が見える。
(最近、紅は俺に顔が似てきたな~
父さん嬉しいぞ!)
(この声…… 親父なのか!?)
(ああ、本当だとも!)
(……親父?)
この時点で何かがおかしいことに気付いたが、心の叫びは止まらなかった。
(…親父ッ… 俺は親父に聞きたいことがあるんだ……)
(それは駄目だ)
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