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さて話を戻すと俺の前に現れた[陰]。
そのきっかけとなったのは公園のベンチで休んでいたときどこからとなく流れてきた聞き覚えのある音楽であった。
別にどこかにスピーカーがある訳じゃなかったが、流れてきた曲に俺は合わせて口ずさんでいた。
すると隣にも同じ曲を口ずさんでいた人がいた。
それが今日授業中に俺を起こした[陰]、そして俺の友達となったキキとの出会いであった。
そんなキキをしばらく俺が眺めているともちろんキキはこちらに気がついた。
というよりビビっていた。
そんなキキが俺に話した最初の言葉が
「………もしかしてお前、俺が見えるのか?」
そりゃ普通は人には見られないのに見られていたらビビりますよね。
もちろんこちらからは見えていますから俺は素直に見えてることを伝えた。
最初のうちはビビっていたキキであったが、落ち着きを取り戻したのか、「そうか」と呟いて俺から視線を外した。
気がつくとさっきまで流れていた曲は止まっていた。
沈黙すること10分
俺は当時[陰]という存在すら分からない状態でなんか自分が見られてビビっている隣の人に話しかけた。
「……あなた誰なんですか?」
完全に話が続かない話題を降ってしまった俺はかなり後悔した。
もちろん最初は沈黙のままであったが、隣の人は堅そうな口を開いた。
「俺は[陰]だ。」
意味が分かりません。
おそらくなにも知らない人が聞いて理解できる言葉じゃないでしょう。
「…[陰]?」
「ああ、[陰]だ。」
………
結局意味も分からぬまま沈黙状態に戻った。
まったく状況を理解できていない俺に気がついたのか、今度は相手から話しかけてきた。
「…もしかして[陰]のこと分かってないだろ。」
Yes
そう思いながら俺は頷いた。
すると相手はかなり困惑した顔になった。
「…あー…、なんて言えばいいかなぁ~。例えばいきなり抜き打ちテストがあったりなかなかモテなかった担任に急に彼女ができたり逆に自分に彼女ができたりすることがあったりするだろ?そういったありとあらゆる現象の黒幕が俺達[陰]なんだ。」
「はぁ…」
イマイチ意味の分かっていない俺は乾いた返事しかできなかったが、もちろん現在は理解している。
逆に理解できていないなら冒頭にこの分を引用しないだろう。
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