memory.

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まだ教科書も入っていないランドセルさえ 体つきの小さな俺には重く感じられて。 でもランドセルを背負って小学生になれたことが嬉しくて 入学式の帰りに立ち寄った家の近所の公園で舞い散る桜の花びらを追いかけて走る。 背後から聞こえる祖母の声に無邪気に返事をして 公園の中央にある噴水に向かっていた時。 ランドセルの重みと、まだ履き慣れていないまっさらな靴でバランスを崩し 小石に爪先を引っ掻けて派手に転んだ。 「優ちゃん!?」
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