memory.

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まだ公園の入り口付近にいた祖母の声が耳に届いた瞬間目に涙が溢れる。 まるで絵に描いたように転んだ体勢のまま。 擦り剥いた膝の痛みと、驚きと。 起き上がることも忘れて声を上げて泣く。 「いたいーっ!!わぁぁぁん、おばぁちゃぁぁぁん!!」 「………大丈夫?」 不意に降り注いだのは、祖母ではなく聞き覚えのない優しい音色を奏でる声。 その声に泣きながら顔を上げると、見知らぬ女の子が傍にしゃがんで桜の色と同じピンク色のハンカチを俺に差し出していた。
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