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「……唯?」
俺は、唯に声をかけた
「犬之介………本当なのか?」
不安そうに見上げてくる唯
「違う」
俺は、はっきりと目を見て答えた
唯はしばらく俺の目を見つめたあと
「爽は最低だな!!友達に嘘つくなんて!!爽何て大嫌いだっ!」
唯は野村にそう言って走って行った
「唯!!待って!」
野村は唯を止めようと手を伸ばしたが唯の足は速かった
「……野村……俺何かしたか?」
野村は唯が去った方向を見つめながら
「どうして?」
「……前と…俺と態度違うから……」
「…君には分からないよ………好きな人に気に入られたくて今までのは全部捨てた…唯が欲しいと言えば何がなんでも手に入れた……要らないって言えば捨ててきた……それなのに…たくさんのライバルが…増える……もう、どうしたらいいんだ……」
野村は泣き始めた
よく分かんねーけど……野村は唯が好きってことか?……
「……よく分かんねーけど……野村はそれで幸せだったのか?」
「は?……幸せに決まってるじゃん…」
野村は目をゴシゴシと擦った
「……本当に?唯が来るまで大切にしてるのを捨ててるのに……幸せなのか?…もちろん唯が来なければ何て言うつもりは無いぞ!」
俺は慌てて言い訳をした
「それは……」
「……言葉が詰まるってことは…幸せじゃなかったんじゃないのか?」
「…………」
野村は黙ってしまった
「とりあえずさ……ゆっくり考えてみたら?」
野村を一人にさせようと思い俺はその場から去った
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