欠けた月

5/7
前へ
/9ページ
次へ
中学の頃くらいから私は母に外見的によく似てきていた。 唯一違うのは母より若干大きい目。 あとは恐ろしいほど私は母に似ていた。 朝、鏡を見る。そこには若い母がいるようなそんな気がした。 「あら。美月ちゃん、お母さんそっくりね。」 母を知る人からは必ずそれを言われた。 学校でも母が保護者会に行くと母を見た友人から、一瞬、私に見えたと報告してくる始末。 外見的要因も、まるで私が母のものであるかの証拠のようで私は自分の見た目が嫌だった。 母は壊れやすいから娘の私が理解しなければならないのに。 母に応えなければならないのに。 一度、きれた気持ちはもどらなかった。 何故何故何故?? 私は何故自分が無いの? 私は母の言いなりだったの?? 私は何なの??
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加