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ファレからリナリアの容態を聞いているスカイは心底リナリアを大事に愛しているように思える。
「……もう、幼いままのリナリアじゃないのか。俺が守らなくても大丈夫なようだな」
嬉しいが、チクンと胸が痛み寂しさを感じる。
「安堵されましたかデイジー様?あの通りスカイはリナリア様を一番に考え過ごして来ました。大事な跡取りの事など忘れているように」
2人を見つめる後姿が、そんなにも寂しげで哀愁が漂っていたのかヒースが慰めるように横に来る。
「ふん!大事にされなければ困る。大事な主人だからな……心配したが幸せそうで良かった」
考え深げに二人を見ていると、またしっぽに痛みが走る。
……またか。この小僧。それとも慰めてくれているのか?俺を。
あきれたように、しっぽを確かめると、また小僧の小さな手が見えた。
「まあ……仕方ないな」
嫌だが、寂しさを埋めるように、しっぽを握り締める手をそのままにリナリアとスカイを見つめた。
「そう言えばデイジー様がいない4年間の間に積もる話が山ほどありますよ」
静かになったデイジーの気持ちを汲んでか、少し間をおいてヒースが近くにある長椅子へと誘う。
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