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「それで……リナリアを連れて帰ると?」
不快感を隠す事無くミモザが声を荒げる。
普段の夜会で美女達に囲まれても軽くあしらい、何も思わなかった。
だが、迫力のある美人5人に囲まれると何も言えなくなる男の気持ちが今……分かった。
確かに、ある意味怖い……。
目の前には四角の机を囲うように、リナリアの姉達5人がそれぞれ長椅子に座り様子を伺っている。勿論、影と呼ばれる者達も一緒に。
主に話の主導権を握るのは、やはり長女にあたるミモザ様のようだ。
「はい。今度は必ず幸せにしてみせます」
「……それを、どうやって私達に証明なさるの?ありきたりの甘い言葉を並べても納得しませんわ」
ギロリとミモザ様に睨まれると言葉に詰まる。
これまでの行いを考えると、確かにすぐには信用しては貰えないだろう。
だが、ここであきらめる訳にはいかない。やっとでリナリアに会えたのだから。
「落ち着いてミモザお姉様。あまり苛めるとリナリアに口を聞いてもらえなくなりますよ」
口を挟んだのは2番目の姉ルータ。肩にリスを乗せ何が楽しいのかニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべ、更には片手にワインだ。
誰も何も言わない所を見ると普通なのか……。
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