1 目覚めた朝の爆弾

2/14
6555人が本棚に入れています
本棚に追加
/374ページ
目覚めた時、すべての出来事に戸惑った。 春の柔らかな日差しに目を細め声の方へと視線を動かした。 最初に耳に付いたのは、泣き叫ぶ赤ん坊の声。うるさくて、うるさくて……しかし、この場面に前も遭遇している事にハッと気付く。 寝台の上で横たわっているのは……あの時離れた大事な主人。 「…………リナリア?」 そんなバカな。 俺はあの時すべてを捨てる代わりに、リナリアを助けて欲しいと願った……ベビーロマンティカに。 あの少年のような不思議な存在は影と呼ばれる我々の長にあたる。リナリア達、主人には言えない事もある……それが影とロマンティカの特殊な関係。 「やってくれたなロマンティカめ……ただの暇つぶしだろうが……うん?まさか俺の主人はリナリアでは無くて、あの泣いてる小僧か?」 ロマンティカに悪態をつきながらも、リナリアに会えた嬉しさに顔がにやけるのは止められない。 俺の主人が、あの泣いている小僧でもな。 寝台を囲みスノウとファレ、それに甲斐甲斐しく動き回るシアラの姿が見える。だが肝心の、あいつが居ない。 たんに部屋の中に入れて貰えないだけか?……それとも、あの時のように、またスカイがリナリアに何かしてるのか? 不安が胸に過ぎる。 ……ん?何だ……リナリアの様子が……。 .
/374ページ

最初のコメントを投稿しよう!