序幕にして本題

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   1  203X年八月、昼、晴れ。かんかん照りの、晴れ。 「暑い……」  俺は、天崎リュウ。彼女なし金なし特技なしな絶賛なかだるみ中のしがない大学二年生だ。只今サークル活動(射撃部)より借アパートにぼやきつつ帰宅している。 (しかもなんでここぞとばかりに暑い日ばかり活動があるのかね……) さらに、肩に掛けた銃のクリーニング用品バッグの異常なまでの重さのせいで、歩む速度も自然と遅くなる。途中にコンビニの一つでもあればいいが、残念ながらない。 (状況確認したところで、何もよくならないな)  当たり前である。    ※  そんなこんなでアパートに帰りついた。なにがそんなこんななのかは気にしてはいけない。  いつも通り郵便受けを確認し、ドアの前に行き鍵を探し見つけ、鍵穴に差し込み回しドアを開けて、そして。  少女が、倒れていた。齢10歳ぐらいか。 「…………は?」  閉める。  もう一度、開けて、閉める。  いる。  今度は鍵を開けるところから。  やっぱいるなぁ。  今度は郵便受けまで…… 「いや、無駄だな」  行かないで、悟る。  靴脱ぎ場に、なぜかギターケースを背負った、パーカー幼女が、うつ伏せに、倒れている。理由は不明。親戚にも、ましてや友人にもこんな奴はいない。
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