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2xxx年 夏
けたたましく泣き喚く蝉
茹だる様な暑さの中で眼を覚ます。
「あっちい…夏なんて消滅すれば良いのに」
ここは俺が住むアパートの自室。
壁面を覆う蔦が笑えないトレードマークとなっているオンボロアパートってヤツだ。
冷蔵庫からミネラルウォーターを…ペットボトルに入れた水道水を取り出し喉と身体を潤す。
「ふぅー、水うめえ。どれ仕事は…」
徐にスマホのメール画面を呼び出すが仕事の依頼は0、迷惑メールしかきちゃいない。
枕元にスマホを投げ出し扇風機のスイッチをオンにする。クーラーなんてセレブレティな電化製品なんざありゃしない。
「きっしょー。今日も仕事ねえのかよー、もう3日も飯喰ってねえよ…そろそろヤベェな」
動けば体力を消耗する。
男は黴臭い布団で横になる。
申し遅れた
男の名は【山之倉 輝】ヤマノクラヒカル
21歳のフリーター。仕事は登録制の派遣とネット上で転売を繰り返し日々の飯の種となっている。これといったスキルは無いが貧乏状態なのと元々の体格の良さが相まって引き締まっていて無駄に男前、所謂イケメンである。
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