始まりの衝撃

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  「ん……ここは?」   輝は夢の中で眼を覚ます。 なんとも不可思議な表現だが一年程前から幾度となく繰り返されている事だ。   「あー、またかよ。コレみると寝たきがしないっつーか、やたら疲れるんだよな。」   病院にでもかかりたいのだが、如何せん貧乏で食事もあわやな生活である。病院に割く現金が無いのだ。   「しかし…いつ見ても綺麗な景色だな。っと…あれは?」   目の前には一面の草原、遠くには雪に覆われた山脈。しかし今日は何時もと違い湖が目に入った。   その湖の辺りに背を向けて人らしき者が佇んでいるのだ。自分以外の登場人物を初めて見た輝は夢の中とは言え警戒しながらそっと近付いていく。   その人物の背後には人一人隠れるだけの岩が在った。輝は一先ず岩陰に身を潜め様子を伺う事にした。   『はぁ………彼は気付いてくれるのだろうか…この景色、そして私の存在を…』     (彼?ココは俺の夢の中だ。って事は彼って俺の事か?景色がなんだ?コイツの存在?知らねえぞ?)   人物は未だ何やら呟いているがボソボソとした独り言の様な話し方の為、聴き取れない。輝は夢の中だし危なくはないかと心中で呟くと身を潜めるのを止め、人物へと近付く。   中性的な声の為、女性と思っていた人物は 然して近付くと肩幅も広く煌く様なブロンドで長髪ではあるものの男性である事が判った。   男性は近付く輝には気付いて無い様で未だに独り言をボソボソと続けている。   「あのー」   意を決して話し掛けるものの男性は気付かない。自分の世界に入り込んでいる様だ。   『いっその事、死んで貰って転生してもらうか…』   何やら物騒な事を話し出す男性   「うらっ!」   背後から掛け声と共に男性の背中を蹴飛ばした。   『えうっ!』ドッボーン……   変な叫び声と共に男性は湖に沈んでいった。  
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