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駅から徒歩5分、3DKの風呂・トイレ付きの部屋が家賃8,000円。
明らかにおかしいこの価格設定に目を疑いながらも、俺はこの部屋に入居する事を決めた。
不動産屋の話では、この部屋を借りた人は一日で飛び出してしまうという。
きっと、幽霊でも出るのだろうけど、これだけ安い物件なら多少の事は気にしないでおこう。
霊感のない俺は、幽霊など見るはずがないと思っていた。
そして、入居してから一週間が過ぎた。
「智也、晩御飯が出来たからね。今日はお母さん、頑張って作ったの」
「あー、うるせぇな。誰がそんなもんいるかよ。カップラーメン食うっての」
俺がそう言うと、少し寂しそうな表情に変わり、襖を閉めた。
親から離れたくて独り暮らしをしようと思ったのに、何でここにいるんだか。
それでも、自分の空間は確保出来るから問題はない。
日中はバイトをして、夜はゲームとインターネットに興じる。
誰にも邪魔をされない、自由な生活が送れると思っていたのに。
夜になると毎晩必ず聞こえる、幽霊の声がその生活を邪魔しようとするのだ。
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