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12年前の3月のことだった
ピンポ~ン
家のインターホンがなる
「は~い」と母親が応える
「どちら様でしょうか?」
「こんにちわ~隣に引っ越してきた南島(みなみじま)と申します」
「まぁ、これはどうも。北村(きたむら)です。そちらは娘さんですか?」
「ああ、はい。長女の麻美(あさみ)です。来月3才になるんですよ~」
「まぁ、そうなんですか!!うちの息子も5月に3才になるんでるすよ~ちょっと呼びますね」
「これがうちの息子の光(ひかる)です。光、この子は南島麻美ちゃんよ。ちゃんとあいさつしなさい」
「えっと、…………」
「あれ、緊張してるのかな?」
「人見知りなんですよ~」
「ほら麻美もちゃんとあいさつしなさい」
「光君、こんにちわ。これからよろしくね」と言って彼女は笑った
今にしてみれば、あいつ3才のくせにしっかりしたあいさつをしていたな
そして、俺はその時の笑顔にうっかりときめいたんだ
単純過ぎるなあの頃の俺…
「あ…よ…よろしく…」
そう言って俺は母親の後ろに隠れた
「あら、恥ずかしいのね~かわいいですね」
「いつもこうなんですよ~」
「そうなんですか~ではこれからよろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
これが俺と麻美の出会いだった
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