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「……奈。真奈!!」
「……ああ……。」
「ぼーっとしてたでしょ……。心此処にあらずって感じだったけど」
「考えごとしてた。ごめん」
ありきたりな返しだ。
親友、由貴(ゆき)を目の前にして真奈(まな)は心の中で呟いた。
苦笑いを浮かべながらガヤガヤと賑わいをみせる空間に、一通り目を通した真奈は再び自分の座る椅子に目線を落とした。
目の前には机、椅子。
目線をあげれば黒板があり、教卓がある。
通いなれた通学路。
通いなれた教室。
自分が座るのは……
思いでの詰まる、自分の席。
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