序章ー秋ー

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ある桜並木のみえる丘に大きなイチョウの樹とモミジの樹があった 二本の樹は互いを支えあうようにそびえ立っていた その2つの木々が色付きはじめるころに双子の彼らは生まれた 彼らは赤い髪が特徴的だった 二人はとても似ていた でも彼らは瞳の色が違っていた 兄はイチョウのようにきれいな金色の瞳をしていた 弟はモミジのように赤く澄み渡った瞳をしていた 彼らの両親はこの町のイチョウとモミジのようにお互いを支えあって欲しいと願って 兄をイチョウの扇のような形みたいに心をひろく優しい子になるように 《椛 扇》〈モミジ オウギ〉と名付けた 弟はモミジのように情に厚く正義感の強い子になるように《椛 紅葉》〈モミジ コウヨウ〉と名付けた 彼らと幼馴染の《桜井 空》〈サクライ ソラ〉はとても仲がよかった 彼らは毎日一緒にいた まるで丘の上のモミジとイチョウの木が桜並木を見守るように…
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