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本当は心の中で悟っているのだ。自分には魔法が使えないし、見ることも出来ない事が。
だが悲しきかな、この俺には諦めるという単語は通用しない。ただの夢見る少年でいるのはつまらないし、何しろ夢を追い掛けるのは良いことだ。まあ、いくら頑張っても魔法は使えないが。
ザァ、――――
風に揺れる木が葉と葉を擦れさせて、さながらオーケストラ顔負けの大合唱をする。まるでこんな俺を鼓舞する様な感じがした。
「……何時までも此処に居たら駄目だ。俺は今ある時間を有効に使わなければならない」
ヒラヒラと舞う木の葉を払いのけ、食い掛けだったサンドイッチを口に押し込み、牛乳で流し込む。
「(授業に)遅れて登場するのはヒーローだからな!」
俺は走りだす。
力なんて無いけど、魔法を使う自分の姿を想像しただけで顔がにやけてくる。フヒヒ
この時は知らなかった。
まさかあんな事に成るとは。
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